メンターインタビュー:さんちゃんさん
悩みごとやモヤモヤすること、不安に思うことをインターネットで気軽に相談ができる「TOKYOメンターカフェ」。仕事や子育てなどを経験してきた方が、都民メンター(助言者)となって多様な悩みに寄り添い、悩みを抱えて次の一歩を踏み出せずにいる女性を支援します。
今回は、都民メンターの1人である、さんちゃんさん(40代)に、ご自身が経験してきた悩みやメンターとしての活動を振り返っていただきました。
なぜメンターになられたのでしょうか?
友人が「TOKYOメンターカフェ」でメンターとして活動しており、「あなたもやってみたら?」と誘われたことがきっかけです。それまでほとんどボランティア経験はありませんでしたが、私も母として、娘として、女性として、それなりに悩んできましたし、こんな私でも人の役に立てるならと思い、応募をしました。
私は今、人事部門の部署で働いていて、障害がある方やうつ病から復職された方など、いろいろなご事情や背景をお持ちの部下がいます。彼/彼女らの相談に乗ることが多いので、自分の勉強になるかなと思ったことも応募のきっかけです。
仕事も子育ても諦めたくなかったけれど……
さんちゃんさんがこれまで悩んでこられたことを教えてください。
私には高校生と中学生になる、思春期真っ盛りの子どもがいます。
子どもが幼い頃は、子育てと仕事を両立させることに一生懸命でした。就職氷河期で大変ななか就職しましたし、もともと生涯働き続けたかったので、仕事はあきらめたくなかった。「共働きの親だから、あの子はダメだよね」などと言われたくなくて、子育ても頑張りたかったのです(ちなみに、夫は当時にしては育児にも家事にも積極的でしたが、私の実家も夫の実家も遠く離れたところにあるので、やはり子育ては母親である私が中心に担っていました)。
でも今振り返ると、「もっとゆっくり育てればよかった」「大事な時間をバタバタと過ごさなくてもよかった」「いろいろと子どもに無理をさせてしまった」という後悔があります。
思い出すのは東日本大震災のとき。私は当時危機管理の部署に所属していたので、震災の翌日も、計画停電が行われている最中でも、仕事に行かねばなりませんでした。真っ暗闇の中、保育士さんと一緒に私の帰りを待つ幼い我が子の姿を見たときに、一体私は何のために仕事をしているのだろうと考えさせられました。それでも、仕事を辞めるという選択肢は頭になくて。もともとの性格上、弱音を吐きたくなかったですし、とにかく日々を夢中で生きていました。
娘とも自分とも、とことん向き合った
その負けず嫌いなところが、子育てでも出てしまって……。習い事の送り迎えなど、土日も含めて子どもをサポートしている中で、「こんなに支えているのだから、結果を残してほしい」と、無意識のうちに娘を追い詰めていたのでしょう。娘も娘なりに親の期待に応えたいと思って頑張るものですから、結果的に娘がひどく体調を崩すという事態が生じてしまったのですね。
娘の体調不良をきっかけに、私は娘ととことん話し合い、また、これまでの自分の生き方や人生観を反省したり、見つめ直したりしました。奇しくも、同時期に仕事のために受講したメンタルヘルス関連の講座も大いに役に立って、すべてをひとりで抱え込むのではなく、周りに素直に頼ろうと思い直すことができました。それはここ数年の中で、私の中で大きな変化だったと思います。
選択肢の一つとして、気づきや情報を渡せれば
ご自身の経験をメンターとしてどう生かしていきたいですか?
自分の中でどうにも答えようがないご相談には答えないようにしています。皆さん何かしら答えてほしいから書き込んでいると思うので、適当な想像で回答してしまうのは逆に失礼だと思うのですよね。どんなに赤の他人であっても、思いが込められていないメッセージは送ってはいけないと思っているので。
「大変ですね」「お辛いですね」という一言だけでもしかしたら癒されるのかもしれないと思いつつも、わざわざご相談して来てくださった方には少しでも新しい気づきや情報をお渡ししたいと思っています。
一方で、「TOKYOメンターカフェ」に寄せられる回答がすべてではないと伝えたいですね。あくまでも選択肢の一つですし、「そういう考え方もあるのだ」という受け止め方をしてもらえたらいいなと。もし寄せられた回答があまり納得のいかないものだったり、違うなと思ったりしたら、「せっかく回答してもらったのに申し訳ない」と思わずに、その気持ちをぶつけてほしい。短い文面のやりとりで終わりではなく、そんな“対話”から生まれるコミュニケーションも大切にしていきたいです。