メンターインタビュー:水雲さん
悩みごとやモヤモヤすること、不安に思うことをインターネットで気軽に相談ができる「TOKYOメンターカフェ」。仕事や子育てなどを経験してきた方が、都民メンター(助言者)となって多様な悩みに寄り添い、悩みを抱えて次の一歩を踏み出せずにいる女性を支援します。
今回は、都民メンターの1人である、水雲(モズク)さん(60代)に、ご自身が経験してきた悩みやメンターとしての活動を振り返っていただきました。
「傾聴」の素晴らしさを実感したから
今回、なぜ都民メンターに応募されたのですか?
私自身、これまでいろいろな理不尽な思いをしたり、あらゆることに悩んだりしてきましたが、その“答え”が知りたいなと思うようになり、40歳を過ぎてから通信教育で心理学を学んだり、産業カウンセラーの資格をとったりしました。
その学びの中で、相手の話を共感を持って聴く「傾聴」の素晴らしさを感じたんですね。人に悩みを話すことで、気分がスッキリしたり、自分とは違う視点で物事を考えることができたりすることを実感したので、今度は私自身が悩みを持つ人の気持ちを少しでも楽にするお手伝いができればいいなと思い、メンターに応募しました。
TOKYOメンターカフェは文字でのコミュニケーションとなるので、回答する際に言葉を選んでじっくり考えることができること、時間的な拘束がないことも魅力的だなと思いました。
雇用形態の違いによる悩み
水雲さんがこれまで悩んでこられたことを教えてください。
私はもともとシステムエンジニアの仕事をしていたのですが、結婚を機に仕事を辞めてからは、体力面での心配もあり、契約社員や派遣社員として事務職の仕事をしてきました。ほぼ同じ内容の仕事をしているのに「正社員ではない」という理由で冷遇されたり、私自身も仕事になかなかプライドを持てなかったりして、立場の違いに悩んできました。
それでもなぜ働き続けたのか。もちろん経済的な理由から働く必要性があったことや、年齢を重ねるほど転職するチャンスも減ってしまうこともありますが……やはり「いつもありがとう」などと声をかけてくれたり、責任ある仕事を任せてくれたりと、私の仕事ぶりを評価してくれている人がいることに気づけたからだと今は思います。
性別役割の押しつけに違和感と怒り
また、夫との関係では、男女は対等であるという考えの一番の理解者であると思っていた夫が、結婚したとたんに女だから嫁だからといった性別役割を主張するようになり、違和感や憤りがとてもありました。結婚制度とはいったい女性にとってなんなんだろう? という疑問や悩みが生じました。夫という立場になるとこうも言動が変わるのかいうことに驚きました。お互い対等だと主張する私と、男女には役割が存在し、男性を優位とするべきだと主張する夫とのぶつかり合いでした。
60代になった今、夫婦の関係は改善してきています。それは、夫の失業、不妊治療、お互いの病気、経済的問題など、いろいろな困難をどうにか一緒に乗り越えてきたからかなと思っています。年齢を重ね、喧嘩も話し合いもたくさんしてきたからこそ、「男だから」「女だから」という役割を超えた対等な関係にようやくなれたのかもしれません。
諦めずにお互いの妥協する境界を求め続けてそれが重なってきたという感じです。
否定をせず、決めつけや強制をしないことを大切にしています
ご自身の経験をメンターとしてどう生かしていきたいですか?
特に20代から40代の頃はたくさんの人生の岐路があり思い悩むことが多いと思いますし、ひとつひとつの悩みが大きく感じられると思います。自分のことを思い出すと後から思えば大したことではないし、みんなが同じように悩んでいることかもしれないのに、渦中にいるとどうしても「なぜ私だけ」と考えてしまうこともあったと思います。
私はメンターとして、相談者さんの心情を理解する最大限の努力をして、決して否定せず、決めつけや強制をしないことを大切にしています。すぐに解決に繋がらなかったとしても、モヤモヤした心を整理するお手伝いをしたり、「どうしたら気持ちが楽になるか」を自分で考えるきっかけとなるような言葉を投げかけたりできたら嬉しいです。
そして、私自身も他のメンターさんや相談者の方にメンターカフェを通して助けていただき、教えていただいているということを忘れずに活動していきたいと思っています。