メンターインタビュー:仙人見習さん

悩みごとやモヤモヤすること、不安に思うことをインターネットで気軽に相談ができる「TOKYOメンターカフェ」。仕事や子育てなどを経験してきた方が、都民メンター(助言者)となって多様な悩みに寄り添い、悩みを抱えて次の一歩を踏み出せずにいる女性を支援します。

今回は、都民メンターの1人である、仙人見習さん(50代)に、ご自身が経験してきた悩みやメンターとしての活動を振り返っていただきました。

子を亡くしたときに支えとなった祖母の存在

なぜ都民メンターになられたのでしょうか?

一言で言えば「お節介」の気持ちがあったからです。

私は30年ほど前、第1子を病気で亡くしました。母親から「親の自覚がなかったから死んだ」と言われるなど、周りから不必要に責められて、とても辛い思いをしました。そんな中、同じく子を亡くした経験のある祖母が“無”となった私に、励ましでも慰めでもないけれど、自身も同じような経験をしたからこそかけられる言葉をくれて、心が救われたんですよね。

私は専門的な資格や特技を持っているので、ある意味模範解答的なお答えもできますが、一方でこれまで随分と「不幸中の災い」を経験してきましたから、もしかしたら私にしかかけられないメンターとしての言葉があるかもしれないと思ったんです。

悩みを身近な人に相談したら、その相談を口外されて、逆に辛い立場になってしまった、なんていう経験をされた方もいると思います。そうした中で、TOKYOメンターカフェのような掲示板は、個人が特定される心配がありませんし、まったくの第三者だからこそ打ち明けられることがあるはず。そんな「お節介」の気持ちから、メンターに応募しました。

DVで離婚、子育てと仕事の両立に悩む

仙人見習さんがこれまで悩んでこられたことを教えてください。

私は大学を卒業してから、技術系の仕事をしていましたが、「女は家庭を守るべきだ」という風潮がまだ根強かった時代ですから、結婚を機に専業主婦になりました。そして、夫からのDV(精神的な威圧)を受けて、離婚。子どもを育てるため、生活をするため、有期雇用で多種多様な仕事をしてきました。

シングルマザーになった私にとって、仕事と子育ての両立は本当に大変でした。そもそも最初はまともに働けるような精神状態ではなかった上に、「子どもを育てている」というだけで採用を見送られた企業もありましたし、ようやく採用されても有期雇用であるためいつも不安な気持ちでした。弱り目に祟り目でサンドバックにされたり……。一方で、子どもが学校でいじめを受けて不登校になったり、実の母は昔から“毒親”で攻撃的で、私の存在を否定するような言葉を投げかけてきたり……。

こんな感じで、これまでの人生で本当にいろいろ悩んできましたけど、今振り返ると、解決してこなかった出来事の方が圧倒的に多かったように思います。

あるとき、私は占いで「今のあなたは、カニが足をもぎ取られたような状態にある」と言われたことがあります。カニは足をもぎ取られて自由に動けなくなったとき、波に身を委ねて漂うしかない。下手に動こうとすると、岩にぶつかるなどして余計に傷ついてしまう。そんなメッセージだったと思うのですが、これは人間にも言えることだと思っています。八方塞がりのときはその流れに身を任せる。そうすれば、必ず波の来ないところへたどり着く……きっと時間が“解決”してくれる。

渦中にいるときはなかなか客観的に物事を見られないかもしれませんが、このように視点を少し変えるだけで、気持ちが楽になることもありますよ。未来を変える力もつくかも。

投稿を見返し、過去の自分との対話も

ご自身の経験をメンターとしてどう生かしていきたいですか?

私が第1子を亡くしたときに強い支えになった、祖母のようなメンターでありたいです。同じような経験をしているからこそ発せられる言葉があるし、何より説得力があるから。

私がメンターになってよかったなと思うことの一つは、過去に自分が答えた回答が見られることです。もちろんその時々で一つひとつのご相談に真摯に向き合っているつもりなのですが、ある程度時間が経って、改めて過去の回答を見ていると「こんな風に思っていたのか」「今だったらこう答えるかもしれない」と思うことがあるんです。過去の自分との対話をしているようですし、いろいろな気付きがあります。

「TOKYOメンターカフェ」は大きな掲示板です。記載されていることを知らない誰かが共感し、一人ではないことを感じてもらいたいです。